【最新版】IB生物・Biology HL:Internal Assessment (IA)テーマ50選+避けたいテーマ10選

選定基準(まず「失敗しない線」を越える)

ポイントは“測れるか・比べられるか・語れるか”。

  1. 測定可能性(定量)
  • 狙い:言い切れるグラフを出す。
  • 良い例:吸光度、発芽率、増殖OD、成長率、阻止円径、心拍数/運動量。
  • 悪い例:「色が濃く見えた」「写真が良さそう」など主観評価のみ。
  1. 単一要因(IVは1つ)
  • 狙い:因果を明確化。
  • やり方:温度・pH・時間・体積・試料量は統制表で固定。
  • 注意:IVを2つ以上いじると結論がぼける(多変量はHLでも危険)。
  1. データ量(再現性)
  • 目安:各条件n≥5、条件数3~5、総データ点50以上
  • 理由:統計検定の前提(分布/分散)を満たしやすくなる。
  1. 倫理・安全
  • 原則脊椎動物の苦痛を与える実験は不可。微生物はBSL手順、ヒトは同意・匿名化・最小リスク
  • :ダフニアの急性ストレスは濃度/時間を最小化、回復水槽を用意。
  1. オリジナリティ(角度の工夫)
  • コツ:題材×指標×範囲×手法のどれかをずらす。
  • :「カフェイン×ダフニア心拍」→回復時間運動軌跡に変更。
  1. 統計可能性(検定の見通し)
  • 事前決定:相関/回帰か、t検定/ANOVAか、カイ二乗か。
  • 目安:連続データ→回帰・t・ANOVA、カテゴリ→カイ二乗。
  1. 実行可能性(装置と時間)
  • 確認:色度計・分光光度計・pHメータ・温度管理・無菌器具が校内で揃うか。2~4週間で終わる設計に。

スコアリングの視点(採点者が見る“5つの点”)

  1. 個人的関与(Personal Engagement)
  • 書き方例:「〜のニュースを見て興味→市販装置を改造→パイロットで範囲決定」というあなたの選択と工夫を筋立てで示す。
  1. 探究の質(Exploration)
  • 要点:手順の再現性(温度の校正・ブラインド化・ランダム化)、誤差と不確かさ(器具精度・ヒト誤差)。
  • :温度センサーを氷水/沸水で2点校正
  1. 分析の深さ(Analysis)
  • 必須適切な統計(p値だけでなく効果量・信頼区間)、前提チェック(正規性/等分散)。
  • 一歩先生物学的意味(機構・限界)まで踏み込む。
  1. 評価・改良(Evaluation)
  • ダメな例:「時間がなかった」で終わる記述。
  • いい例:限界→具体的改善再デザイン(条件幅の再設定、別指標の導入、機器の自作改良)。
  1. プレゼン(Communication)
  • 基本:軸・単位・凡例・誤差棒(SD/SE)を明記。
  • 構成:原データ→加工→統計→図表の透明な流れ

テーマ例50(分野別)

記法:Independent Variable(独立変数)→ Dependent Variabele(従属変数)|方法|統計|狙い/差別化のヒント

1) 酵素・代謝

  1. pH→カタラーゼ活性|H₂O₂分解吸光度|回帰/ANOVA|至適pH曲線で機構を議論
  2. 基質濃度→アミラーゼ速度|デンプン比色|回帰(Michaelis-Menten)|Km, Vmaxに触れる
  3. 温度→ペルオキシダーゼ活性|ガイアコール|二次回帰|失活域の解釈
  4. NaCl→アミラーゼ活性|ヨウ素デンプン|ANOVA|イオン強度の影響
  5. 金属イオン種→阻害度|吸光度|ANOVA|競合/非競合の仮説

2) 光合成・呼吸

  1. 光強度→葉円盤浮上速度|浮上率|回帰|飽和域の見極め
  2. 光色→光合成速度|フィルタ|ANOVA|吸収スペクトルと対応づけ
  3. 重炭酸濃度→酸素発生|O₂センサ|回帰|基質制限の検証
  4. 葉齢→純光合成|IRGA代替法|相関|老化の影響
  5. 温度→酵母呼吸速度|CO₂センサ|回帰|Q10の算出

3) 植物生理・成長

  1. オーキシン濃度→屈光角|画像解析|回帰|濃度依存性の非線形性
  2. 灌水頻度→生長率|乾燥重量|t検定|水ストレスの閾値
  3. 土壌pH→発芽率|ペトリ皿|カイ二乗|最適帯を推定
  4. 塩ストレス→クロロフィル量|SPAD/抽出|ANOVA|光合成機能低下の可視化
  5. 日長→花芽形成率|観察|カイ二乗|光周性の型判定

4) 微生物

  1. 糖源種→酵母増殖|OD600|ANOVA|代謝経路の違い
  2. 温度→乳酸発酵速度|pH計|回帰|最適温度の特定
  3. 植物抽出物濃度→阻止円|ディスク拡散|回帰|天然抗菌の選択性
  4. 浸透圧→CO₂発生|ガス捕集|回帰|発酵効率と水活性
  5. UV時間→E. coli生存率(安全株)|コロニー計数|回帰|DNA損傷の用量反応

5) エコロジー・行動

  1. 光強度→ダンゴムシ走光性|選好装置|カイ二乗|適応的選好
  2. 湿度勾配→選好度|二択試験|カイ二乗|水分回避/選好
  3. 基質粒径→ミミズ選好|選好実験|カイ二乗|土壌改良との関係
  4. 植栽密度→生長率|鉢区画|回帰|競争の密度依存性
  5. 塩ストレス→蘚苔被度|画像解析|t検定|塩害耐性の比較

6) 水生生物(無脊椎・低負荷)

  1. 水温→ミジンコ心拍|顕微鏡|回帰|代謝と温度
  2. カフェイン→運動量|トラッキング|ANOVA|心拍の代替指標で差別化
  3. 溶存酸素→ブラインシュリンプ孵化|曝気|回帰|酸素制限仮説
  4. 塩分→遊泳速度|ビデオ解析|回帰|浸透圧ストレス
  5. pH→藻類増殖|OD/被度|回帰|pH緩衝の設計

7) 細胞・膜透過

  1. 糖濃度→ジャガイモ浸透|質量差|回帰|水ポテンシャル推定
  2. 温度→ビート色素漏出|吸光度|ANOVA|膜流動性
  3. アルコール→色素漏出|吸光度|回帰|脂質二重層障害
  4. 界面活性剤→漏出|吸光度|回帰|界面活性効果の閾値
  5. 浸漬時間→平衡到達|吸光/質量|回帰|動力学

8) 遺伝・形態(非侵襲・匿名)

  1. 温度→ショウジョウバエ羽化率|計数|カイ二乗|発生と環境
  2. 品種差→発芽/成長|比較|ANOVA|遺伝背景の効果
  3. 葉形態→気孔密度|テープ法|t検定|ガス交換能力推定
  4. 種子サイズ→発芽速度|計時|回帰|貯蔵栄養と初期成長
  5. 日照歴→比葉面積SLA|面積計測|回帰|葉の適応

9) 人体由来(最小リスク・同意)

  1. 手洗い方法→表面菌数|平板法|t検定|洗浄効果の可視化
  2. カフェイン前後→反応時間|アプリ|対応t|個人内比較でノイズ削減
  3. 学習時間→短期記憶正答率|課題|相関|過度な因果主張に注意
  4. マスク素材→飛沫距離|可視化|ANOVA|素材特性の定量
  5. ブルーライト→眠気スコア|質問票|t検定|主観尺度の信頼性に配慮

10) 応用・環境

  1. 活性炭量→脱色率|吸光度|回帰|吸着等温線の導入
  2. バイオプラ→分解率|質量減少|回帰|条件依存性の比較
  3. 媒染剤種→退色速度|色差計|ANOVA|染料固定メカニズム
  4. 植物抽出液→Feキレート能|比色|回帰|抗酸化性の別角度測定
  5. バイオチャ→土壌保水|重量差|t検定|干ばつ耐性との接続

避けたいテーマ10(なぜ危険?どう避ける?)

  1. ダフニア心拍×カフェイン(定番劣化版)
  • 問題:既視感・倫理・設計が粗い。
  • 回避運動軌跡/回復時間サブ閾値濃度に変更、温度・光を厳密統制。
  1. 多要因同時操作(例:光色×強度×重曹)
  • 問題:因果不明。
  • 回避IVは1つ。他は統制表で固定。
  1. n不足(各条件n=3以下)
  • 問題:有意差が出ない/再現性不明。
  • 回避各条件n≥5、総点数50以上。
  1. 市販キットを説明通りやっただけ
  • 問題:探究性ゼロ。
  • 回避:範囲の再設計、装置改良誤差評価を盛る。
  1. 相関=因果の誤読
  • 問題:主張が過大。
  • 回避因果は操作でのみ。相関は限定的解釈に。
  1. ヒト課題で統制崩壊
  • 問題:睡眠/食事/既往歴でノイズ大。
  • 回避被験者内比較、時間帯固定、匿名化・同意。
  1. 設備外の指標
  • 問題:再現不能。
  • 回避校内で測れる指標に言い換え。
  1. 微生物安全手順の欠落
  • 問題:安全・倫理の減点。
  • 回避:滅菌・廃棄・ゾーニングを手順化して記述。
  1. DNA抽出“できた写真”のみ
  • 問題:定量性なし。
  • 回避収量の吸光定量バンド強度へ。
  1. 考察が一般論で終わる
  • 問題:あなたのデータに結びつかない。
  • 回避効果量・CI・限界→再デザインまで具体。

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